扁桃炎を繰り返す5歳の息子。ここ半年は1か月に1回ほど発症し、3~5日は高熱が出て、物が食べられなくなります。手術で扁桃腺をとったほうがよいのでしょうか?
(宮城県 31歳 女性)
扁桃炎は大人にもおこりますが子どもに多く、正確には「口蓋扁桃炎」という病気です。
実は扁桃腺はひとつではなく、口の周りを取り囲むように、耳管扁桃、咽頭扁桃(アデノイド)、舌根扁桃、そして口蓋扁桃と4つ存在します。
もともと扁桃は、細菌やウイルスから体を守る大切な免疫機能を担うリンパ球という血液の一種をつくっている臓器です。
扁桃炎が薬ではなかなか改善せず、炎症を繰り返す場合は、手術で口蓋扁桃をとる必要があります。
昔は抗生剤などのよい薬がなく、扁桃の働きが十分にわかっていなかったので、何でもすぐ手術でとってしまうことがありましたが、最近は手術の適応という判断基準によって手術が必要かを決めます。
4~5歳のお子さんでも手術が必要なケースは、以下のようなことなどがあげられます。
手術時間は30分から1時間程度、全身麻酔なので痛みや恐怖感は少なく、また、口の中から行うので顔や首に傷がつくことはありません。入院は1週間程度です。
また、扁桃をとることでかぜをひきやすくなったり、免疫機能が低下したりすることはありませんので、心配は不要です。
ご質問のお子さんの場合は、かなり炎症が強く、繰り返しているようなので、手術の必要性があるかもしれません。
しかし、のどの痛みや発熱が扁桃の炎症だけではないこともあるため、耳鼻咽頭科専門医とよく相談することをおすすめします。
「笑顔」、p25、こころとからだの笑顔相談室、平成29年1月10日発行 より
笑顔 October 2018 第49巻第10号 保健同人社