三越前の耳鼻咽喉科 日本橋 神田

医療法人社団 大恵会 日本橋大河原クリニック

耳鳴り治療は
カウンセリングが効果的

日本人の65歳以上の30%以上が耳鳴りで苦痛を感じているとされる。

耳鳴りは基本的に軟調に伴って起こる。

加齢性難聴や騒音性難聴などは治療法がない。

突発性難聴などの内耳疾患でも治療が不十分だと難聴が残る場合がある。

このような治らない難聴に伴う場合、耳鳴りの治療もなかなか難しいのが現状だ。

そこで日本聴覚医学会は「耳鳴診療ガイドライン2019年版」を発行した。

ガイドラインでは耳鳴りに対する不安が強い場合や軽症以上に対しては、「教育的カウンセリング」が重要であると推奨している。

カウンセリングと言っても精神心理的な相談援助ではない。

耳鳴りの仕組みを正しく理解してもらう説明(カウンセリング)だ。

耳鼻咽喉科「日本橋大河原クリニック」の大河原大次院長はこう話す。

「耳鳴りを理解していないと、不安やイライラから余計に耳鳴りが気になり、より耳鳴りは大きく感じる悪循環に陥りやすくなります。其の悪循環を断ち切るためにも、耳鳴りの成り立ちや怖い病気でないこと、耳鳴りを完全に消失できなくても改善することができることを理解してもらい、納得してもらうことが大切になるのです」

耳鳴りで受診する患者は、耳鳴りがあるから聞こえが悪い(難聴)と思っている人がほとんど。

しかしそれは間違いで逆。

耳鳴りは「キーン」や「ゴー」など、聞こえる音は患者によってさまざまだが、それは難聴によって聞こえなくなった音域の音を示している。

脳が聞こえなくなった音域の部分の感度を上げるため、実際にはない音を脳が作り出してしまうのが耳鳴りの正体だ。

そのような仕組みなので、耳鳴りを気にすればするほど音を大きく感じてしまうのだ。

また、耳鳴りによって難聴が進行することはないし、ストレスや疲れなどそのときの体調で悪くなったり良くなったりすることも理解しておくといい。

「脳は意識して聞こうとしない音は遮断する方向に働きます。耳鳴りも『心配ない』という認識でいれば、脳が次第に慣れて耳鳴りの音を抑制してくれます。このセルフコントロールだけでも、個人差はありますが6割りくらいの人が改善するとされています。」

ガイドラインでは難聴に伴う耳鳴りには「補聴器の使用」も強く推奨している。

ただし、補聴器によって耳鳴りが消失するわけではない。

これはさまざまな音(環境音)を脳に入れることで耳鳴りを感じにくくさせるのだ。

「ガイドラインが発行されたのも、耳鳴りを専門にする医師が非常に少ないからです。長い期間悩んでいたら、耳鳴治療を積極的に行っている大学病院や耳鳴外来を設ける医療機関を受診するのがいいでしょう」

気になることを減らすのが耳鳴治療の目標だ。

夕刊フジ 6/2(火)第15402号 産業経済新聞東京本社2020