三越前の耳鼻咽喉科 日本橋 神田

医療法人社団 大恵会 日本橋大河原クリニック

耳鳴りや軽い痛みは音楽プレイヤーが原因?

普段から携帯音楽プレイヤーでよく音楽を聴いているのですが、ときどき耳鳴りがしたり、軽い痛みを感じたりすることがあります。

人の声が聞こえづらいこともあるのですが、なんらかの治療は必要ですか?

日常的に注意すべきことについても教えてください。

32歳/男性/福岡県

聞こえの神経が障害されている可能性が
大音量を長時間聴くことは避けて

質問内容から「音響外傷」(「ヘッドホン難聴」とも呼ばれる)の心配があります。

音響外傷には、コンサートやライブで急激に大きな音を聞いておこる急性音響外傷と、長期間騒音の激しい場所で仕事をしたり、大きな音や音楽を長時間聴きつづけたりすることでおこる慢性音響外傷がありますが、相談者の場合は、後者の慢性音響外傷の可能性があります。

この障害は、鼓膜が破けたり傷ついたりしておこるのではなく、耳の奥にある聞こえの神経(センサー)がダメージを受けてしまう障害です。

もっとも厄介なことは、一度障害を受けると今の医学でも治すことができず、一生にわたって難聴や耳鳴り、耳が詰まったような耳閉感という症状に悩まされてしまうことです。

とくに、今は若い人がスマートフォンや音楽プレーヤーで音楽を楽しむ機会が多く、長時間、大音量で音楽を聴いているだけで障害が起こってしまいます。

音楽を聴いているだけで耳が聞こえなくなるとは思わないかもしれませんが、難聴と言っても最初から全く聞こえなくなるわけではなく、はじめは耳鳴りや耳閉感を感じる程度で、徐々に進行していくこともこの病気の特徴です。

予防法は、大きな音を長時間聴き続けないことです。

では、どの程度の音量、時間であれば音響外傷を予防できるのでしょうか。

WHO(世界保健機関)が「80でじベル以下の音量で1週間に40時間以内」と指標を示しました。

一般の人には分かりづらいので、音楽を聴くときの目安として、「耳が痛く感じる大きな音」は避け、なおかつ「連続1時間半を越えず、1時間聞いたら5分から10分程度耳を休ませる」ことを守るようにしましょう。

誰でも大きな音を聞いたとき、「耳が痛い」と感じる経験をしたことがあるかと思います。これは、からだはこの音の大きさは耳に悪いとの情報を「痛み」という症状で教えてくれているのです。

また、長時間聴き続けることは避け、耳を休ませることも重要です。

音楽を聴くことは、楽しみやリフレッシュのためにも大切なことです。

音量、時間を守って楽しむようにしましょう。

音響外傷を予防するためのポイント

JUST HEALTH 2020 5/6 第384号 株式会社法研