花粉症について
春が近づくとともに毎年、多くの人が悩まされる花粉症。花粉が飛び始めてからあわてないためにも、早めに対策を立てましょう。
花粉症とは
植物の花が原因となって起こる、アレルギー性鼻炎のことです。
人間には体内に花粉などの異物が入り込むと、異物を排除して体を守ろうとする仕組み(免疫)があります。この仕組みが過剰に反応し、逆に体を傷つけるような症状を引き起こしてしまうことをアレルギー反応といいます。その反応が鼻や目に出ることを、花粉症と呼んでいるのです。
近年、花粉症の人が増えている理由
大気汚染や乾燥した環境によって粘膜が弱り、アレルギー反応が出やすい状態であるから。
また、花粉症の多くは2月中旬~4月中旬に飛散するスギ花粉が原因です。戦後、大量に植えられた日本のスギは非常に生命力が強く、花粉量は年々増加傾向にあります。その分、体内に入り込む花粉も増え、現在までに花粉症にある人も増えていったと考えられるでしょう。とくに都心部は、本来は土に吸収されるべき花粉がアスファルトやコンクリートの上に残って頻繁に花粉が舞うため、人間の体内に入りやすいのです。
花粉症の症状
代表的な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり。
ほかには目のかゆみを訴える人もいます。しかし、これらの症状が出るからといって、誰しもが花粉症というわけではありません。季節や体調によっては風邪を併発し、その症状が混在している場合もあります。わかりやすい違いは鼻水。花粉症の鼻水は透明で、さらさらと水のように流れていきます。一方、風邪をひいているときの鼻水は黄色っぽく、ねばり気があるのが特徴です。症状を正確に見極めるためにも、鼻の粘膜を診察できる耳鼻咽喉科にかかることをおすすめします。
発症メカニズム
花粉症はアレルギー疾患の一種で、体が起こす過剰な免疫反応です。目や鼻などから花粉が体内に入り、体がそれを異物とみなすと抗体をつくって対抗しようとします。その抗体が花粉と反応すると化学物質(ヒスタミンなど)が分泌され、鼻づまりや目のかゆみなどを引き起こすのです。
発症時期
花粉症の原因で代表的なスギ、ヒノキの花粉は春に大量に飛散するため、「花粉症」と聞けば春のイメージが強いでしょう。 しかし、花粉症の原因となる花粉には約60種類があり、ほぼ1年中花粉症は発症する可能性があります。 原因となる花粉の種類や飛散量、飛散時期は地域によって異なるため、花粉情報は下記のサイトなどで確認しましょう。
環境省花粉観測システム「はなこさん」
http://kafun.taiki.go.jp/
医療費の面から見ても、花粉症は早期対策がおすすめ!
日本人の約5人に1人が悩み、今や「国民病」とも呼ばれる花粉症。
そのため、医療費などの負担も大きく、損失額は2000年の時点で3,000億円近くに上ると推定。
現在は花粉症患者も増えているため、それを上回る金額になると推測されます。症状が重くなれば、その分医療費の負担も大きくなりますので、毎年悩まされている人はもちろん、症状の軽い人や発症していない人も、早めに対策を立てて花粉症に備えましょう。
症状を緩和するには
最適な治療を受けるためにも、主訴(一番悩んでいる症状)をしっかりと伝えることをおすすめします。その内容により、抗ヒスタミン剤の内服処方、点鼻薬、舌下免疫療法、レーザー治療など、患者さんのニーズに合わせた治療法を提案することができるからです。
日常生活ではニュースやインターネットで見られる毎日の花粉情報をチェックして対策を。乾燥していると花粉を受け入れやすくなるため、加湿器やマスクでなどで粘膜の潤いを保つことで、ある程度シャットアウトできます。
働くオンナの救Q箱 p.25 metropolitana メトロポリターナ vol.182 feb. 2018より
おすすめ花粉症対策 ~応用薬で対策~
セルフケアでも楽にならない人は薬で症状を抑えよう。
1.症状が出る前に(初期療法)
花粉が飛散する前に薬を飲み始めれば、症状の出現を遅らせたり症状を軽くすることができます。
花粉の飛散時期を確認し、飛び始める2週間ほど前から開始するのがよいでしょう。
- 副作用は少なく、くしゃみや鼻水の症状に有効です。
- アレルギー発症に関連する細胞から化学伝達物質の放出を抑える薬です。
2.症状に合わせて(対症療法)
内服薬と直接患部に薬をつける局所治療薬があり、それぞれ組み合わせて使います。
使用する際は、医師または薬剤師とよく相談をしましょう。
- すぐ効果がでますが、口が渇く、眠気が出やすいなどの副作用もあります。
- 特に鼻づまりに効果があります。服用後、およそ1週間で効果が出始めます。
- 鼻に直接噴射する薬剤。鼻づまり、くしゃみ、鼻水の症状に有効です。
- 化学伝達物質遊離抑制薬や抗ヒルタミン薬の点眼薬が一般的。
症状が強い場合はステロイドの点眼薬を使用する場合もあります。
花粉症の薬もジェネリックにすると安くなります!
ジェネリック医薬品って?
医師に処方される薬には先に開発された「新薬」と、新薬の特許が切れたあとに同じ有効成分で製造され効果・安全性が同等と認められた「ジェネリック医薬品」があります。ジェネリック医薬品は値段が安いため、花粉症など定期的・継続的に薬を服用するときには費用を抑えることができます。
おすすめ花粉症対策 ~基本 身の回りから対策~
症状の軽い人も重い人も、まずはセルフケアで対策を
症状をなるべく抑えるために、まずは花粉に触れないことが基本です。
日常生活からこまめに対策をしていきましょう
外出
- 帽子
- 髪への付着を防ぎます。つばの広いものを選びましょう。
- メガネ
- コンタクトレンズを使用している人もメガネに変えたほうがよいでしょう。
フレームの大きいものがおすすめです。 - マスク
- なるべく顔にフィットするものを選び、毎日交換しましょう。
- 服
- 花粉がつきやすいウール素材は避け、表面がさらさらした素材を選びましょう。
室内
- 部屋
-
- 家に入る前に服についた花粉を払いましょう。
- 手洗い、うがい、洗顔などをし、花粉を洗い流しましょう。
- 花粉の飛散量の多いときは、窓や戸を閉めておきましょう。
- こまめに部屋を掃除。床は濡れたぞうきんでふくのが効果的です。
- 洗濯
- 洗濯物や布団は部屋干しがベスト。外に干す際は午前中は避け、取り込む際は花粉を払い落としましょう。
花粉症Q&A
- 花粉症が飛びやすいのはどんなとき?
- 花粉の飛散量が多くなるときは、「晴れて気温が高い日」「空気が乾燥していて風が強い日」「雨の降った翌日の晴れた日」などです。特に、午前中に飛散した花粉が風にのって市街に飛んでくる正午前後と、上空に舞い上がっていた花粉が落ちてくる日没後は、注意が必要です。
- どうして毎年花粉の飛散量が変わるの?
- 前年の気候により花粉を飛散させるスギの雄花の量が変化するためです。前年の夏に、気温が高く雨が少ないと翌年の花粉の量は増えるといわれています。
- 花粉が室内に入っても空気清浄機をつけていれば安心?
- 花粉症対策には空気清浄機よりも加湿器の方がおすすめです。鼻炎症状の大敵は乾燥。加湿器などで室内の湿度を60~70%に保ち、鼻粘膜に潤いを与えることが症状の改善につながります。
- 花粉のピークが過ぎれば、もう対策しなくても大丈夫?
- たとえば4~5月はヒノキ、6~7月はイネ(カモガヤ)、9~10月はブタクサやヨモギなどの花粉が飛散するため、スギ以外の花粉にもアレルギー反応が出る場合は、しばらく症状が続きます。早めの対策をうつためにも血液検査をおこない、何に対してアレルギーがあるのかを調べておくといいでしょう。とくに、もともとアレルギー体質の人はアレルギー性鼻炎をきっかけに、食物アレルギー→アレルギー性皮膚炎→ぜんそくのように、粘膜への症状が波及することもあるので注意が必要です。
- 服装や薬以外に何か対策はできないの?
- 花粉症の原因のひとつに免疫力の低下が挙げられます。そのため、1.睡眠を十分にとる、2.ストレスをため込まない、3.バランスのよい食事をとる、など規則正しい生活をこころがけましょう。
また、アルコールやタバコなどの刺激物を控えることも大切です。生活の改善は花粉症を発症していない人が発症を予防する際にも有効ですし、花粉症以外の失敗対策にも有効です。
(「イライラ花粉症を乗り切ろう!」に掲載)