喉頭がん
喉頭(こうとう)というのはいわゆる喉ぼとけのことです。ここは食道と気道の分かれ道になっており、食べ物などを誤って飲み込まないための安全装置の役割があります。
喉頭の中には発生のための声帯があり、ここを声門と呼びます。声門の上を声門上、下を声門下と呼び、喉頭がんは3つの部位に分類して扱われます。
喉頭がんの発症率は10万人に3人とされていて、発症率は男性の方が圧倒的に多くなっています。
症状について
がんができる場所によって初期症状が異なります。
声門がん
声門がんでは声帯にがん腫瘍ができるため、早い時期から声枯れや低いガラガラ声になってしまうなどの症状が現れます。
声門がんは進行することで、さらに声帯を狭くしてしまうので、息苦しくなったり、たんに血が混じるなどの症状に繋がります。
声門上部がん
声門上部にがんができる場合には、のどに異物感を感じる、いがらっぽさを感じる、食べ物を飲み込む際にのどの同じ場所に痛みが出るなどの症状が現れます。
声門下部がん
声門下部にできるがんは、初期症状はあまり出ないことが多いです。
そのため、症状が出ることにはがんがある程度進行していることがあり、受診が遅れがちになります。
進行した場合には、声枯れや息苦しさが出ますが、なにより少しでものどの違和感などがあれば、早めに耳鼻科にかかることが大切です。
原因
喉頭がんの主な原因として挙げられるのは、喫煙と飲酒です。
特に喫煙は、ブリンクマン指数という簡単な掛け算があり、例えばタバコを1日20保温、30年間吸っていると20×30=600となります。
600を超えるとがんのハイリスクになります。
900を超えるといつがんが発症してもおかしくない状態です。
それ程タバコの本数と関連しています。喫煙されている方は一度ご自身のがんのリスクを計算してみましょう。
診断・検査
喉頭がんの診断には視診、触診を行いますが、見えにくい部分などはファイバースコープを使って隅々まで観察することが大切です。
当院では細いファイバースコープを使用して、鼻からのどの奥を観察します。
ファイバースコープは痛みもなく、また鼻からの診察になりますので嘔吐反射(オエっという感覚)もなく安心して検査を受けていただけます。
症例紹介
ファイバースコープによる検査でがんが見つかった症例をご紹介します。
こちらの画像で示している、白くボコボコした部分が初期のがん腫瘍になります。
ステージ1の患者さんで早く見つけることができたため、放射線治療により治すことができました。
このように初期であれば治療の負担は少なく済みます。なるべく早めにファイバー検査を受けるようにしましょう。
治療について
がんの治療には外科療法、放射線療法が中心となります。
複数を合わせて行うこともあります。
手術や専門的な治療が必要な場合には連携先医療機関へとご紹介いたします。
喉頭がんは呼吸、飲み込む、しゃべるなどの生きていく上で非常に重要な機能を担っているのどの病気です。がんの進行度合いによっては、声帯の摘出などの必要があり、声を失うことにもなりかねません。
早期発見早期治療が大切ですので、痛みや違和感がある場合には耳鼻科を受診しましょう。